AC:Adult Children
アダルトチルドレン。アダルト・チャイルドとも呼ばれる。
子どもの成育に悪影響を与える家庭環境(機能不全家族)の中で育ち、成長してもなお、精神的影響を受け続ける人々の総称。
大人になり切れない子どものような人、という意味ではない。
ACOA:Adult Children of Alcholics
家族がアルコール依存者への対応で手いっぱいとなったり、情緒的な関心が向けられなかったため、低い自尊心や空虚感を抱えるようになった人々。
他人に必要とされることや、他社を支配することで自信を持とうとしたり、何かに依存して受けようとする傾向と持つ。
ACOD:Adult Children of Disfunctional Family
アルコール依存症だけでなく、少子化や離婚、経済的貧困、極端な地域環境でも機能不全家族は生まれる、として広げられた概念。
ACOAからACODへ
アルコール依存症の家族に目を向けると、共依存関係・支え(イネイブラー:アルコール依存行動を可能とする助けになっている人)になっている配偶者の存在や、同じようにアルコール依存症になってしまう子どもの存在(世代間伝達)が明らかになってきた。
機能不全家族の特徴
- 否認:家族の中に問題があることを認めない【認めるな】
→正常と異常の判断の困難。自分の感情の否認 - 硬直性:予想できない事態に対して心を閉ざして身構える【感じるな】
→感情の未熟さと乏しさ - 沈黙:悪い出来事やその時の気持ちを誰にも話せない。話し合えない【話すな】
- 孤立:問題が外部に知らされない。助けを求められない【信頼するな】
親密な人間関係を築くことが困難
ACの特徴的兆候
- 自分の判断に自信が持てない
- 常に他人の参道と称賛を必要とする
- 自分は他人と違っていると思い込みやすい
- 傷つきやすく、引きこもりがち
- 孤独感、疎外感が強い
- 感情の波が激しい
- 物事を最後までやり遂げるのが困難
- 習慣的に嘘をついてしまう
- 罪悪感を持ちやすく、自罰的・自虐的
- 過剰に自責的な一方で無責任
- 自己感情の認識、表現、統制が不得手
- 自分にはどうにもできないことにも過剰反応してしまう
- 世話やきに熱中しやすい
- 必要以上に自己犠牲的
- 物事にのめりこみやすく、方向転換が困難
- 衝動的に動いてしまいトラブルが多い
- 他人に依存的、または逆に支配的
- リラックスして楽しむことができない
原家族(育った家庭)での役割
- ヒーロー(英雄):期待に応えようとがむしゃらに頑張る。自分の活躍で両親の関係が改善されるため頑張りすぎてしまう。
- スケープゴート(生贄):関心を引くために好ましくない対応をとる。負の部分を背負い込み「この子さえいなければすべては丸く収まるのではないか」という幻想を抱かせることで、家族の崩壊を防ぐ
- ロスト・ワン(忘れられた子、いない子):目立たず静かにふるまい、普段は忘れられる。距離をとり、心を守るための行動
- マスコット、クラン(道化師):道化師のような行動で家族間の緊張を和ませる潤滑油。問題から家族の目をそらす、表面的にはペットのようにかわいがられる
- プラケーター(慰め役):家族の中で暗い顔をしているものを慰め助けるカウンセラーーのような役目を果たす
- イネイブラー(支え手、援助者)家族のメンバーに奉仕することで自分の問題と向き合うことを避ける。親のように振る舞うことも。第一子がこうした役目になることが多いとされる
ACの課題
- 【課題】自分に焦点が当たっていない →【解決】自分に焦点が当たっている
自分中心の考え方もできるようになること。自分の身を守る「私」が何を思うのかが大事。 - 【課題】「境界」を学んでいない →【解決】柔軟な境界をもつ
自他の問題を区別する。責任や所有権は誰にあるのか。 - 【課題】不合理な信念を持っている →柔軟な考え方をする
柔らかいものは壊れない
回復のための4つのステップ
- 過去の喪失を探る
過去の事実を認め、その時の自分の感情を語る。ここで埋もれていた怒りが出てくるのは失ったものを悼み悲しむグリーフワークのプロセス - 過去と現在をつなげる
過去の何が現在の自分にどう影響しているのかをつかんでいく。現在の自分の課題に焦点を移すステップ - 取り込んだ信念に挑む
自分が「すべき」「すべきでない」と思っているものを点検する。助けになっているメッセージは、そのままとっておき、自分を苦しめるメッセージは置き換える - 新しいスキル(生きる上での技能)を学ぶ
感情を認知し表現する。助けを求める。問題に向き合って解決する。相手に耳を傾ける。交渉する。限界を設定する。ノーという。遊ぶ。リラックスする。決断する。など
ACという言葉についての注意点
- ACはレッテルや病名、診断名ではない。生きるために身に着けた特徴的なパターンのこと。生きづらさ、という問題を解決するための自覚用語
- 気持ちはわからなくもないが、親を責めても問題は解決しない
- 子どもは家庭だけでなく、学校やそれぞれの環境に適応するため随時自分を修正しながら成長するもの。親ですべてが決まるというわけでもない
- 元の家庭の中で助けてもらったパターンを手放し、その場にあった新たなパターンを身につける。真に自分らしく生きるためのスタート
→グループ療法やカウンセリングが有効